ユミルさまマジ女神

進撃の巨人

進撃の巨人12巻

進撃の巨人は原作もアニメも本当に凄い。特に…ユミルさまマジ女神…というわけで今回はユミルの凄さを紹介しよう。

装甲をまとって戦う巨人のコンテンツは【ウルトラマン→ガンダム→エヴァンゲリオン→進撃の巨人】と昭和から平成まで脈々と続いている。特にエヴァはシンジの自意識・プラグスーツ・LCL=羊水=子宮=母・怪物=巨人・拘束具・ATフィールド…と、各種装甲のマトリョーシカだ。進撃の巨人も、この系譜の中にある。特に「巨人を食うと記憶と能力が継承される」というアイデアは、円谷を食う富野、富野を食う庵野、庵野を食う磯山…時代を反映し続けるコンテンツの系譜を直接的に表現している。

その中にあってカイ・シデンはカッコイイ。ジャーナリストとなり装甲を脱いで生身で「戦争そのもの」と戦うんだもん。そりゃアムロやシャアよりカッコイイ。ユミルもカイと似ている。その三白眼。その口の悪さ。所属集団に固執せず、だからこそスパイを助けたりもできる。だからこそ「戦争そのもの」を陣営を越えて見ることができる。俯瞰しながらも、結局は戦場に身を投じる。それも軽やかに。

ユミルとカヲルも似ている。ナゾな宗教組織のアイドル。偶像。入れ物。だからこそ他人との心理のやりとり・交渉に慣れざるえない。他人の体によく触る。同性愛的。物語のナゾそのものの役目を担わされている。(ユミルは偽だが始祖の名を与えられている。)誰か一人だけを助けようとしている。しかし最後には「その誰か一人」を捨てて、戦いそのもの・世界観そのものに終止符を打つため自身を犠牲にする。

ユミルは世界を俯瞰で見る。斜にかまえている。彼女自身の知性と生い立ちのためだ。だが、ここぞ!というときは衝動で動く。後先考えない。なぜなら、彼女の感情・衝動は思考や知性が結晶化・武器化したものだから抜くときは速いのだ。巨きな世界観を持ちながら衝動でも動ける余裕がある。だからこそ、ベルトルトの声を聞ける。ベルトルトを見つけられる。

たくさんの人が良かれと思って取った行動が現代の地獄と天国を創ってきたが、全ての先達の選択を「良し」に転換する可能性を現世代は持っている。ユミルはその体現者だ。ユミルさまマジ女神。進撃の巨人が大大円を迎えることを祈っております。

ローロー:2017/06/21
肌 ▼

世界の肌に触れたい
肉壁に触れたい 脈を感じたい我らを包んでいた世界の肉に
いつしか大きな柱が刺さり
白い塩の柱が刺さり
その体温から遠ざけられた

全方位からそびえる柱に支えられ
人を世界から隔離したコロニーの地平
嘘の風を吸い
仮の水を飲み
偽の土を踏みしめる
炎だけが本物だ 炎だけが……

かつての人は
見えない翼をもち
見えない牙をもち
見えない尾をもち
世界の肌に額をつけて 感じていた
最小から最大に至るまでの
膨大な生と死の波打ち際を

暖かな暗がりの中で
顔の見えない母の中で
世界の肉に接吻しながら
保ちつつも溶け合いながら

竜胆ヒマワリ:2017/06/24
辛福な皇子 ▼

 砕かれた顎
 摘まれた乳房
 毟られた脇毛
 断たれた四肢
 両目だった穴からは清流が湧き
 抉られた心臓からは血の海だ
…そして蛆が湧く

 奪ったモノの上に肥えながら
 失くしたモノの為に細りながら
 腐肉の毒にぬたうち生きる
 星の欠片を継ぐ子どもたち

 東西より凶兆を持ち寄り
 オロンパス(世界の臍)に梯子を立てよ
 古今への吉兆を祈り
 天まで延びた、その梯子を燃やせ

 泣け、喚け
…白く透明な蝿に成るまで
 狂え、踊れ
…上昇する気流に乗るまで

ローロー:2017/06/24
昇天十字軍 ▼

僕の哀れなお母さん
瞼は開き 口は開き 指先は二度と握れない
僕の哀れなお母さん
虹が刺さり 海水が染み込み 散り散りに分かたれていくそうれ 皆、運動だ
隊列組んで運動だ
ぬるく潤う母の大地で
おぞましいほど幾何学だ

そうれ 皆、上を見ろ
唇かんで上を見ろ
空の青さに紛れた隆起が
届かぬ僕らの父さんだ

お母さんから沢山奪って
至天に隠れたあのろくでなし
入道雲を侍らせながら
星降る夜に白く湿った
ミルキーウェイとしけこむぞ

お母さん
近い未来に僕たちは
白い羽もて空隊組んで
甲斐性なしを撃ちに行く
夢見るあいつの天之鉾に
幾千の唾吐きかけて
お母さんの似顔絵かいた
僕らの旗を立ててやる

お母さん 僕らは命短くて
お母さん 明くる朝にはロストする
お母さん 僕らは光に憧れて
お母さん 頭数とて切り崩す
お母さん……!