カテゴリー: ヨーロッパ

聖マルガリータと悪竜ルフィン


大致命者マルガリータ/St Margarita

◉黄金伝説/レゲンダ・アウレア【wiki】・大致命者【wiki】
◉アンティオキア(現在のトルコ共和国・アンタルヤ近郊)

キルスト教改宗を迫られ拷問のすえに首をはねられた乙女。処刑直前に「女たちのお産を軽くしてください。」と神に祈り、以後安産の守護聖人として信仰されます。大致命者として聖人とされていましたが、のちに伝説であることが確定し聖人から外されます。しかし、そのマルガリータ信仰は残り続けます。【wiki】

悪竜ルフィン/Rphin

拷問の合間にマルガリータを襲った竜。マルガリータを飲み込みますが、直後に十字架の力で破裂させられます。絵画では真っ二つに裂けた龍から出てくる乙女として描かれます。キリスト教のヨブ記やアフリカのキリム神話、日本の一寸法師のように「化物に飲み込まれて脱出すると立派になる」に似たパターンのようです。

詳しいエピソード/広島工業大学/電子情報工学科/酒見研究室
http://www.ec.it-hiroshima.ac.jp/sakemi/Auchin/Mergrete.htm

 


ローロー
2017/01/30

ルッキング フォー ▼

回帰願望
日常的風景の中に 無意識に鍵を探す
かつて失った鍵

生まれ変わりたい訳でなく
理解されたい訳でなく
もう一度欲しいだけなのさ
知らずに抜けた綺麗な羽根
この眼を覆ったパノラマの鱗

生き進むほど 脱がされていく
この世が大きなカメレオンに見える
不可視の肌で欺いて
若きを呑み込み 出汁だけ奪って
老兵をひり出すカメレオンの中で

鍵を探す
抜け出すための鍵ではなく
心の下で寂しくしている
ヘソの穴を満たす鍵


浅皿小僧
2017/01/31

人生は素敵か。いや、ステーキだ ▼

子供の頃は、夢見てた。
広い世界を、何にも知らず。
少し育って、世界虹色。
見える物皆、不思議の宝庫。
更に育って、世界鈍色。
鍍金は剥げて、不幸も見えた。
半生時代が高級品。
焼けちまったら、戻れない。


竜胆ヒマワリ
2017/02/02

ジャンキー・チェーンを踏み台にして ▼

 朝、
 処方される紅い錠剤
 すでに見知ったコンテンツ

 夜、
 処方される蒼い錠剤
 真実と反逆のコンテンツ

 夢、
 繰り返し施される
 酩酊と覚醒のオリクサリ
 我らを縛る、この中毒回廊こそ鍵そのもの
 そうだ
 鍵はすでに手のひらの中

 紅い錠剤を細かく砕いて
 半分はトイレの水に流してしまって
 蒼い錠剤を細かく砕いて
 半分は中庭の風に吹かせてしまって
 残った粉を紫にして
 両の鼻から吸い込めば
 色と線とが二重にたわみ
 キタキタ
 カメレオンに空いた肉の裂け目だ

 翼が折れても
 鱗が剥がれても
 内臓を痛めつつ這う
 汚物まみれのケツ穴
 抜け出た先は…

…アオ!
 青い空と。
 自転する星の息吹
…アカ!
 赤いカイト。
 その十分な角度と揚力

 左手前方には月光菩薩
 右手後方には日光菩薩
 眼下に架かった虹をくぐれば
 海と草原と山河のパノラマ
 東方には聖杯を求める騎士の一行
 南方には雨雲を伺うゾウの家族
 そして縄張りを拡大するサルの軍勢

「それより僕と踊りませんか?」
「ダンスはうまく踊れないので」
 獲物を探し
 雌雄を求める
 生き物たちのサバイバル
 運命の潮流が産む無数の大渦

 手を!
…手を!


ローロー
2017/02/02

殻から羅漢 ▼

うつろうなかがり火
踊るな夜明け前の悪い子供たち

泣こうが笑おうが一切は過ぎ去り
召されるまでの走馬灯の中で凝縮され
記憶違いで薄まったスープになり
世の肌に吸われる定めなどとよく言えた

俺たちは更にいたいけに
俺たちはより長く沈黙し

知った気になった風聞の中を 再度裸で歩む
北風と太陽と黄色く濁った黎明の下で
卵の中の卵の中の卵の中で
破裂するまで回帰するヒエラルキーの中で

母の中で 血の中で
ほくそ笑むまで旅をする
光なく音のない
濡れた動脈の繭の中で


ローロー
2017/02/02

忘れる力があり、忘れる技を使う ▼

悩めよ悩めよ 掌のムジナよ
そのけったくそわるい踊り場談義も
明日になれば湿気を失い
無惨に乾き 朝日に駆逐されるぜ

簡単なことでお前の心は変わる
鳥肌ひとつ 涙一滴に至るまで
簡単なことでお前の孤独は埋まる
そもそも孤独ですらないのさ

故郷があり
窓口があり
愚痴をこぼす相手もいる
不特定多数の耳に目に
ぐしゃぐしゃに丸めた恋文を投げ込むことも
お前にはできる
お前には何だって許されてる

後生大事なその枷で
何を飾ったつもりだい

小さな卵の中に 大きな世界を見るのはやめようぜ

鬼女ハッグ

 

鬼婆ハッグ/Hag

山の奥に住む老いた魔女。日本では人を食う山姥。人を食う鬼のイメージが強いですが、金太郎を育てるなどの二重性を持ちます。これは人間に恵みを与える山の力の厳しい冬の面の人格化だからかもしれません。【ハッグ:wiki】【鬼女:wiki】【山姥・山乳母・鬼婆:wiki】

私が印象深いのは『小僧と三枚のお札』です。これとそっくりの話がハンガリー民話の『勇者ヤーノシュと黒龍フェルニゲシュ』にあります。鬼婆は足が速いという特徴があるようです。

ブリテンの赤竜 VS ザクソンの白竜

ブリテンの大地を守る赤竜/Y Ddraig Goch

ウェールズの国旗に描かれる赤い竜。ブリテン人のヴォーティガン王が治める五世紀のイギリス。王は雇ったサクソン人の傭兵に裏切られ、撤退先に築いた砦も地盤沈下で傾くという運の無さ。砦建設成功のため「父のない子マーリン」を生贄に捧げようとしたとき、マリーンは砦の下に眠る二匹の龍のヴィジョンを見る。【wiki】

ザクソンの白竜/Saxon white dragon

アングロ・サクソン人を象徴する白い竜。マリーンの幻視では「赤い竜はブリトン人、白い竜はサクソン人。この二匹の龍の戦いはコーンウォールの猪が現れて白い竜を踏みつぶすまで終わりません。」この予言も当たる。【wiki】

大魔法使いマリーン/Merlin

夢魔と高貴な女性の間に生まれた孤児。アーサー王に助言する大魔法使いとなる。【wiki】

アーサー王を象徴する猪/Boar

コーンウォールの猪ことアーサー王。アーサーは熊や竜を象徴とする伝説の王だが、今回の幻視のなかでは猪。

聖女マルタ&亀獅子タラスク


聖女マルタ/St.Martha

キリストと仲良し一家の姉。

【弟ラザロ】死んでいましたがキリストが蘇生させます。この「死者を生き返らせる」行為から、キリストはユダヤの司祭たちに目をつけられ。磔になったという説があります。
【妹マリア】旧約聖書ではよくある女性の名前。キリストの話に夢中。
【姉マルタ】キリストの話に夢中の妹に「少しは家事を手伝いなさい。」と小言を言います。キリスト教では妹マリアの宗教に没頭する態度を推奨する派閥が強いですが、姉マルタの生活を大事にする態度も大事にする派閥もあります。

キリストの死後、マルタは聖母マリアと一緒に小舟に乗せられて地中海に流されます。フランスのローヌ川に辿り着き、そこのネルルク(黒い森)で子供を食べるタラスクと出会います。松明・聖水・帯を使って飼い慣らしますが、子供を食われ怒りが収まらない民衆によってタラスクは投石によって殺されます。【wiki】

松明・聖水・帯は三種の神器のようです。ガルグイユ、聖ジョージの竜、ペスハなど竜退治に度々登場します。


亀獅子タラスク/Tarasque

海竜リヴァイアサンと魔牛ボナコンとの間に生まれた亀獅子。6本の足が生え、棘の付いた甲羅を背負っています。毒息と灼熱の糞を撒き散らし、子供を食べます。聖女マルタとの戦いは祭りとして現在でも残っています。【wiki】

この祭りは、19世紀に流行した小説『タルタラン・ド・タラスコンの冒険』の鉄砲撃ちの主人公が加わり銃をドンドン撃つ祭りになったようです。それが発展して、現在では戦車に美女を乗せて街を練り歩く祭りになっています。この聖マルタが帯で縛った亀竜を連れ帰るイメージと戦車に乗る美女のイメージが重なるのが面白い。

泉竜クエレブレと水妖シャナ


泉竜クエレブレ/Cuelebre

スペインの山奥の泉に住む有翼の蛇。硬い鱗を持ち、毒の息を吐きます。大食いでドンドン成長するため小さな泉や山に住めなくなり、最後にはさらってきたシャナと共に海に消えます。【wiki】

水妖シャナ/Xana

クエレブレに惚れられた金髪の乙女。人間から水妖になってしまいます。