ユダヤ・キリスト教

聖女マルタ&亀獅子タラスク

【亀獅子タラスク/Tarasque】

海竜リヴァイアサンと魔牛ボナコンとの間に生まれた亀獅子。6本の足が生え、棘の付いた甲羅を背負っています。毒息と灼熱の糞を撒き散らし、子供を食べます。

聖女マルタとの戦いは祭りとして現在でも残っています。【wiki】この祭りは、19世紀に流行した小説『タルタラン・ド・タラスコンの冒険』の鉄砲撃ちの主人公が加わり銃をドンドン撃つ祭りに発展し、それが現在では戦車に美女を乗せて街を練り歩く祭りにまでなりました。この聖マルタが帯で縛った亀竜を連れ帰るイメージと戦車に乗る美女のイメージが重なるのが面白い。【聖女マルタ/St.Martha】キリストと交流のあった一家の姉。キリストの死後、聖母マリアとともに地中海に流され、フランスのローヌ川のほとりのネルルク(黒い森)に辿り着きます。そこでタラスクを松明・聖水・帯を使って捕まえます。【wiki】松明・聖水・帯は三種の神器のようです。ガルグイユ、聖ジョージの竜、ペスハなど竜退治にも繰り返し登場します。

【聖女マルタ/St.Martha】

キリストと交流のあった一家の姉。キリストの死後、聖母マリアとともに地中海に流され、フランスのローヌ川のほとりのネルルク(黒い森)に辿り着きます。そこでタラスクを松明・聖水・帯を使って捕まえます。【wiki】松明・聖水・帯は三種の神器のようです。ガルグイユ、聖ジョージの竜、ペスハなど竜退治にも繰り返し登場します。

【弟ラザロ】死んでいましたがキリストが蘇生させます。この「死者を生き返らせる」行為から、キリストはユダヤの司祭たちに目をつけられ、磔になったという説があります。

【妹マリア】旧約聖書ではよくある女性の名前で、聖母マリアとは別人です。キリストの話に夢中。

【姉マルタ】キリストの話に夢中の妹に「少しは家事を手伝いなさい。」と小言を言います。キリスト教では妹マリアの宗教に没頭する態度を推奨する派閥と、姉マルタの生活を大事にする態度も推奨する派閥があります。


竜胆ヒマワリ:2017/02/28

ロックンロール・ウィドウ ▼

あたいあいつのグルーピー
信じたけれど騙された
あいつはとうに磔(はりつけ)られて
あたいもタライに乗せられて
流れ着いたわガリアの地
ああ、かっこつけて死にたいわ

あんたあたいに似ているわ
ノアの舟に見放され
それでも生きる女亀一匹
ユダの真似して結んだ吊り紐
あんたに結んで暮らそうか?
ああ、かっこばかり先走り

あたいを家から連れ出したのは
いつも燃える蛇だった
輝く虹彩を宿した瞳
カインを孕んだイヴもそう
イエスを孕んだマリアもそう
騙されるけれど信じるわ
ああ、かっこつけて生きたいわ

ローロー:2017/03/04

朝焼けのシティボーイ ▼

お前らの共通言語に憧れて
都会に出た 世に出た 
やればできる子と願掛けて
やがて芽が出た 膨らんだ
そこから先が何もない

恍惚をなくした
一枚岩をなくした

俺は確かにしなやかになった
巷に揉まれ 人に諭され罵られ
テロメアを継ぎ足して生き易くなった
だが今は

柳を止めて胚珠に戻りたい
容易く砕け散る小宇宙に戻りたい

そんな世迷い言を呟いていた夏の夜
あるいは倦んだ冬のまほろば
現れた女の後光に笑う薔薇に触れ
そのトゲの鋭さに泣いた

覚えたのは皆の言葉
黙らせたのは解け合えぬ我の鏃
思い出す静けさの午後
益を為さずとも生きられたあの頃の俺は
生涯にモラトリアムなど無いことを知った上だった

竜胆ヒマワリ:2017/03/09

中二世紀少年 ▼

 人類の精神史に沸いては消える泡沫(うたかた)のメモリー
 蹴る殴るヒーローたちのコンテンツ
 あまいすっぱい男と女のコンテンツ
 みぎひだりうえしたなかそとイデオロギーのコンテンツ
 歯をむき出し笑う反骨のコンテンツ
 コンテンツとはすでに失くした詩片(うたかた)のメモ束

 風が霧を払ってゆく
 雨が足元を洗ってゆく
 そして目の前にはムキ出しの地政が
 ただどこまでも横たわるのを見るだけ

♪すっご〜い
♪た〜のし〜
 ケモノたちのポストモダン
 エーアイたちのカンブリア
 ニンゲンたちのラグナロク

 それでも瞼に残る最後の光影
 いまここの神の不在を証明し
 いまここの神の不信を証明しない
「未来に現れる神」のビジョン

ローロー:2017/03/11

美しい人生 ▼

美しい者よ
そのまま生きていくがいい
美しくない者よ
美しい物を作り続けるがいい
醜い者よ
同類を探すがいい 

美しい者よ
神に愛されるがいい
外面の美が衰える前に
内面の美に急ぎたどり着くがいい

夭折の片道切符が
夕暮れ時の麦畑に落ちていても
例えそれを拾ってしまったとしても
けして後ろを振り返ってはいけない
けして振り返ってはいけない

佳人薄命にかこつけた運命の使いが
お前を見ているから
燃える瞳で見ているから

美しい者よ
お前の生涯は息巻く駿馬
取り巻く愛の諸々は
その尾にくくりつけられた罪人
花園を駆け抜けて
綿毛の中で窒息させろ




聖マルガリータと悪竜ルフィン

大致命者マルガリータ/St Margarita

黄金伝説/レゲンダ・アウレア【wiki】・大致命者【wiki】
アンティオキア(現在のトルコ共和国・アンタルヤ近郊)

キルスト教改宗を迫られ拷問のすえに首をはねられた乙女。処刑直前に「女たちのお産を軽くしてください。」と神に祈り、以後安産の守護聖人として信仰されます。大致命者として聖人とされていましたが、のちに伝説であることが確定し聖人から外されます。しかし、そのマルガリータ信仰は残り続けます。【wiki】


 悪竜ルフィン/Rphin

拷問の合間にマルガリータを襲った竜。マルガリータを飲み込んだ直後に十字架の力で破裂させられます。絵画では真っ二つに裂けた龍から出てくる乙女として描かれます。キリスト教のヨブ記やアフリカのキリム神話、日本の一寸法師のように「化物に飲み込まれて脱出すると立派になる」に似たパターンのようです。


ローロー:2017/01/30
ルッキング フォー 

回帰願望
日常的風景の中に 無意識に鍵を探す
かつて失った鍵

生まれ変わりたい訳でなく
理解されたい訳でなく
もう一度欲しいだけなのさ
知らずに抜けた綺麗な羽根
この眼を覆ったパノラマの鱗

生き進むほど 脱がされていく
この世が大きなカメレオンに見える
不可視の肌で欺いて
若きを呑み込み 出汁だけ奪って
老兵をひり出すカメレオンの中で

鍵を探す
抜け出すための鍵ではなく
心の下で寂しくしている
ヘソの穴を満たす鍵



浅皿小僧:2017/01/31
人生は素敵か。いや、ステーキだ 

子供の頃は、夢見てた。
広い世界を、何にも知らず。
少し育って、世界虹色。
見える物皆、不思議の宝庫。
更に育って、世界鈍色。
鍍金は剥げて、不幸も見えた。
半生時代が高級品。
焼けちまったら、戻れない。



竜胆ヒマワリ:2017/02/02
ジャンキー・チェーンを踏み台にして 

 朝、

 処方される紅い錠剤
 すでに見知ったコンテンツ

 夜、
 処方される蒼い錠剤
 真実と反逆のコンテンツ

 夢、
 繰り返し施される
 酩酊と覚醒のオリクサリ
 我らを縛る、この中毒回廊こそ鍵そのもの
 そうだ
 鍵はすでに手のひらの中

 紅い錠剤を細かく砕いて
 半分はトイレの水に流してしまって
 蒼い錠剤を細かく砕いて
 半分は中庭の風に吹かせてしまって
 残った粉を紫にして
 両の鼻から吸い込めば
 色と線とが二重にたわみ
 キタキタ
 カメレオンに空いた肉の裂け目だ

 翼が折れても
 鱗が剥がれても
 内臓を痛めつつ這う
 汚物まみれのケツ穴
 抜け出た先は…

…アオ!
 青い空と。
 自転する星の息吹
…アカ!
 赤いカイト。
 その十分な角度と揚力

 左手前方には月光菩薩
 右手後方には日光菩薩
 眼下に架かった虹をくぐれば
 海と草原と山河のパノラマ
 東方には聖杯を求める騎士の一行
 南方には雨雲を伺うゾウの家族
 そして縄張りを拡大するサルの軍勢

「それより僕と踊りませんか?」
「ダンスはうまく踊れないので」
 獲物を探し
 雌雄を求める
 生き物たちのサバイバル
 運命の潮流が産む無数の大渦

 手を!
…手を!



ローロー:2017/02/02
殻から羅漢 

うつろうなかがり火
踊るな夜明け前の悪い子供たち

泣こうが笑おうが一切は過ぎ去り
召されるまでの走馬灯の中で凝縮され
記憶違いで薄まったスープになり
世の肌に吸われる定めなどとよく言えた

俺たちは更にいたいけに
俺たちはより長く沈黙し

知った気になった風聞の中を 再度裸で歩む
北風と太陽と黄色く濁った黎明の下で
卵の中の卵の中の卵の中で
破裂するまで回帰するヒエラルキーの中で

母の中で 血の中で
ほくそ笑むまで旅をする
光なく音のない
濡れた動脈の繭の中で



ローロー:2017/02/02
忘れる力があり、忘れる技を使う 

悩めよ悩めよ 掌のムジナよ
そのけったくそわるい踊り場談義も
明日になれば湿気を失い
無惨に乾き 朝日に駆逐されるぜ

簡単なことでお前の心は変わる
鳥肌ひとつ 涙一滴に至るまで
簡単なことでお前の孤独は埋まる
そもそも孤独ですらないのさ

故郷があり
窓口があり
愚痴をこぼす相手もいる
不特定多数の耳に目に
ぐしゃぐしゃに丸めた恋文を投げ込むことも
お前にはできる
お前には何だって許されてる

後生大事なその枷で
何を飾ったつもりだい

小さな卵の中に 大きな世界を見るのはやめようぜ


kappa:2006/01/08
ひさしぶりに書いてみました 

そっと闇の戸叩いてごらん
その音は限りなく響き
その響きが消えるとき
世界は破滅す



竜胆ヒマワリ:2017/10/30
マルチバース 

結んだ掌から宇宙が生まれ
開いた掌から宇宙が消える
ジッと手を見る我が暮らし

善悪を知る実と誘惑の蛇

善悪を知る実と誘惑の蛇/Eden’s Seapent

エデンの園でアダムとイヴは楽しく暮らしていました。しかし神は「中央に生える『生命の樹』と『知恵の樹』の実だけは食べるな!」と命令します。しかし、エデンに侵入した蛇によってイヴとアダムは「知恵の実」を食べてしまいます。神は激怒し、二人はエデンの園から追放されて荒野を彷徨うことになるのです。【wiki】

知恵の樹エデンの園原罪
幻想動物の事典/グノーシス主義の蛇
バルバロイ/グノーシス/オフィス派
まつたけのブログ/原罪とは何か?知恵の実とは何か?



竜胆ヒマワリ:2016/11/26
風が吹いてきた。
さて、生きようか。それとも死のうか。 

知恵のリンゴのことだけど
ホントは「善悪を知る実」と呼んでほしい
アレを食べると とても美しいものが見られるよ
だけど美しいものを見るには
たくさんの人で造られた 巨きなピラミッドがいるよ
美しいものを巡る とても悲しいことや
とても虚しいことも たくさん見なくちゃならないんだ
でも 美しいものは とてもとても美しいんだ
  ・
  ・
  ・
リンゴ喰うかい?



ローロー:2016/11/28
ベヘリット?石仮面?賢者の石? 

きれいな目をした修羅がいた
うつくしい形
やわらかな薫り
不浄 屈辱 謗りを浴びて
心はどんどん錆びていき
心はどんどん剥けていく

月が反転する 彼の一言で
輪廻が崩れる 彼の一振りで
「きれいなもの」が見たいから
踏み行く土は 亡骸の塚

母?故郷?力?断末魔?
置いてきた?失った?
それは大きな勘違い

彼らは超越し 駆け抜けたようでいて
命は一所に留まり 世界に置いていかれた
置いていかれることを望んだ

その憎悪、野望が臨界点に達した時
その中の引きこもって二度と出られなくなった

黒い胎児 月に透けて映る
きみのくわえた果実の中にも
向かい合って揺れるその雛型



竜胆ヒマワリ:2016/11/29
元型の世界樹 G&EXの鎮魂歌  聖者の行進 

二人の息子に会いたくて
二人の息子に継がれたリンゴ。

しかし、この被験群はリンゴの力をリンゴに向けて使い自己中毒を起こしているようです。周囲のあらゆる環境を人間化し、にも関わらず、個々人は悪党にも善人にもなれずにエデンで保育されていたころに戻りたがっています。エネルギーの枯渇を待つまでもありません。どの個体も社会を営む力を徐々に失い、自滅すると思われます。

ああ、こんなことなら
お前を巣食ってやろうなんてするんじゃなかった!
そろそろ2つめのリンゴの時間だ。
電脳じかけのポイズン・アップル。
二度目の転生。二度目の矢。楽園の向こう。
  ・
  ・
  ・
リンゴ喰うかい?



ローロー:2016/11/30
スフィアクレイドル 

宿業の旅 枝分かれ
網羅の止まらぬ 数多の旅路
最近どんどん 先細り
透けて見えるわ 枝の先

ここで大切なのが
分かたれた枝が何処かで交わることがあるのか
それともないのか
全方位に伸び続け 増え続ける林檎の樹が
根を守るように球状の成長を辿り
醜くて強靭な母胎となっていること

私たちはその枝を辿り
別の枝に飛び移ることができない
本当の意味で選べない旅路を
灰になるまで進むしかない

林檎の根をかじる誰かに
きづくことなく




竜胆ヒマワリ:2016/11/30
このキなんのキ 木に成る木 

根元は腐り
真芯は朽ち果て
幹のウロも広がるばかり
右往左往する宿り虫

陽を見失った枝先は 虫に編まれて地下を目指す
泉が枯れた根の先も 虫に引かれて地上に顔出す
やがて枝と根とがネットを形成(かたな)せば
幹が完全に朽ちたとしても
世界樹の第二形態
まさにスフィアクレイドル(球のゆりかご)の道も開ける

このゆりかご 軸を失い、天地も無用
荒野を転がるタンブルウィード
地下の泉は衛星となりニズヘグと供に軌道を舞う

このゆりかご 虫どもの棺桶として焼かれるサダメか?
火の鳥に運ばれる金枝(ヤドリギ)なのか?
それは虫には預かり知らぬ
  ・
  ・
  ・
金枝編むかい?



ローロー:2016/12/01
宿った種に光あれ 

渇きと潤いの片寄り
何よりも気になるところさ

枯渇と潤沢の偏重傾向
他を廃してでも注視すべきか?

それらを左右する要素は
欲の行く先に現れるのではないか
生きとし生けるもの全てが抱く
欲望のベクトルに偏りがあるのではないか

思考なく同じものを欲しがってやしないか?
同じ声だけを拾ってやしないか?
望みにメジャーもマイナーも無いのだぞ?

知恵の実 欲の実 神頼み
この身 去るのみ お前の好み
教えなくてもいい
語らなくてもいい
お前の体で見せてくれ
その身でなぞれ 世界脈

ロー&ロー
低きよ 低きに流れよ
風上に立たず 追い風を受けず
時勢の誘いを蹴って描けよ

お前だけの望み
お前だけの試み
ただ一心不乱の齧歯たれ 辿り着け
お前だけの知恵の実

黙示録の紅き竜

黙示録の紅き竜
アポカリプス・ドラゴン/Apocalypse Dragon

◉新約聖書/ヨハネの黙示録【wiki】

ユダヤ・キリスト教では世界の終わりに、天から現れ赤い七頭竜・海から七頭獣、地中から悪魔が現れるとされています。これらに対抗して太陽と月と星に守られた妊婦と、ミカエルが率いる天使軍が現れ、竜と獣と悪魔と戦います。この黙示録戦争の後、紅き竜は封印され、その後解放されますが、獣と悪魔は地獄に放り込まれます。この差はなんだろね?【wiki】

apocalypse_dragon-min

 


ローロー:2016/02/11

絶妙界 ▼

灯台もと暗し
燭台は己の首を照らしえず
光は影の沸点の隣にあり

お前の美貌も一皮むけば
煮えた血潮の乱るる憐れ


竜胆ヒマワリ:2016/02/12

七枝燭台の七根の影 ▼

 なぜ生命は地に満ち殺しあう?(増殖する命が孕む死の因子)
 なぜ意識は世界と自分を見つめ合う?(自我が目指す無の境地)
 なぜ物質は存在する?(物質の影に隠れた反物質)

その謎よ
鎖のように張り撓(たわ)め!
波のように伸び縮め!

(どこにも集中せぬように
 どこにも霧散せぬように
 水平に水平に保たれる時……
 現れたるは大鏡海(おおかがみ)
 そこに映るは宙に浮かんだ巨大な黒球!?
 はたまた浮かび上がった鯨の影か?)

その畏れが仮我見を乱し夢から醒める
ツルツルだったか?モジャモジャだったか?
生き物だったか?機械だったか?

なにはともあれ
くわばらくわばら


ローロー:016/02/12

メイルシュトロム ▼

銀色のイワシが群れなし泳ぎ
モビー・ディックの頭を追い抜き

幾千の衝動を突きつけながら
誰よりも素早く死に行く

彼らの黒い目
開いた口
隣り合わせの発露と死滅

今しか知らない生きた白波
寄せても還さず 満ち満ちる

はち切れそうだ
意識に飛び込むという意識に
呑み込まれてはち切れそうだ

安穏の竜宮城を望んでいたのに
波にすら遊ばれて
波になりそうだ
永遠の桃源郷を目指していたのに
沢山の肩とすれ違うだけで満たされそうだ


金子みすゞ:2016/02/16

アリューシャンマジック

亜竜産マジック ▼

朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰮(おおばねいわし)の
大漁だ。

浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何萬(まん)の
鰮のとむらい
するだろう。


ローロー:2016/02/16

絶妙界への易 ▼

延々続く苦界の底に
浮かずに屹立 しがらみの青

なぜここにいるのか?
我らは本当は何も選べないのか?
なにか出来ることはないのか?

まとわりつく水圧が足取りを緩慢に描く
弧を描く 月の軌道 頭上を這う
孤独が光を反芻する
風もなく 音もなく
朽ちた羅針盤 踏み砕く

深く息をするということ
そこにあるものを捉えること
時を以て 洞察である
取り巻く苦痛の無音内壁を
私のものにするのである
この身を眼とし 耳とし 聡し
ぬるく沸き立つ奴隷の海に
猛威の春風 吹かすのである

 

ap-min