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宗介の力

『鶴の恩返し』や『雪女』といった異類婚姻譚では「自然界の力を持った女の問いかけに、間違った応えをした男が酷い目にあう」物語が数多くあります。財産を取り上げられたり、子供を奪われたり、目を潰されたり、国を滅ぼされたり。しかし、宗介は様々な問いに的確な応えを「し続け」ます。

何気ないシーンですが、それを象徴するシーンがあります。宮崎アニメにたびたび描かれる【男の子が女の子のために暗闇の中で火を灯す】です。パズーやルパンが暗闇でマッチをする場面では大抵1、2回は失敗しますが、宗介のポンポン船は一発で出発します。宗介が今までの男共とはチト違うという意味であり、サンと離れて暮らすことを選択したアシタカより、度量の広い男なのかもしれません。

宗介がさらに凄いのは、ヒロインは化け物だし、状況は解らんし、いつのまにか世界の運命が賭けられてるし、よくパニックにならずに大大円まで行けたもんです。 握手を求めたフジモトの気持ちがよぉーく解ります。このシーンが一番ホロリとしちゃうなー。

…ただ少し気がかりなのは、宗介からしなければならなかったキスをポニョからしちゃうところです。神話や民話のパターンからいうと、これはチョットまずい。でも、まぁいいか。

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フジモトの力

宮崎アニメ伝統の「自然vs文明」とか「世界の危機」を背負っている芸術家風の男。グランマンマーレに恋して人間をやめているようです。少し紅の豚とカブりますね。

生命と機械が融合したような船に乗り、高純度の海のエキスを抽出したり、海底牧場を運営するなど、非常に「科学者的な態度」で海とつきあっています。

しかし、他の宮崎作品の「自然vs文明」キャラに比べると随分と滑稽に描かれています。だって、世界の危機を叫んでいるのはフジモトだけなんですもの。ポニョもグランマンマーレも汚い海も原初の海もそれほど気にしていませんし、機械に活力を与えることも厭いません。

またフジモトには境界線に関する描写が繰り返し描かれます。海では空気の膜に覆われ、陸では深海の水が撒かれた場所しか歩きません。人間文明の廃液が混じった海水を嫌い、純粋な海のエキスを抽出し貯めています。これらは清浄と汚濁を分けて考えているという描写です。宮崎駿さんがよく使うモチーフであり、グランマンマーレの大きさにはなれない男たちのテーマでもあります。

他に印象的だったのがリサの家の柵を越えられないシーン。魔法がかかっている地域では人を入れたくない場所には柵を立てるだけで十分ですが、魔法がかかってない地域では高いコンクリの壁と鉄条網が必要になってきます。

フジモトの理想はデボン紀の海。いろいろ難しい理屈はこねてるようですが、ただ単にグランマンマーレが懐かしんだ海をプレゼントしたいだけなのでしょう。…まぁ、当のグランマンマーレは奇麗だろうが汚かろうが、海は海だと気にしないんでしょうけどね。


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